2021 年 77 巻 2 号 p. I_339-I_348
鉄道線路に敷設された単粒度砕石層の微視的構造に着目した解析的検討に用いる DEM コードにおいて,計算負荷の高い接触判定のループを OpenMP で並列化した.加えて鉄道総研所有の大型計算機「究 2」を用いることで,計算速度が従来の約 10 倍に向上した.またバラスト砕石のモデル化において,角張度を実形状に近づけるために Asperity 要素を導入した.改良した解析コードと解析モデルを用いて,道床更換直後の軌道支持剛性および道床沈下をシミュレーションで再現し,実線における実測結果と比較した.シミュレーション結果は実測結果の平均値±σ(標準偏差)の範囲に収まり,定量的精度も向上した.これより,DEM が従来の定性的評価に留まらず,保守作業や軌道構造の最適化に向けた定量的評価等に活用可能であることを示した.