2010 年 66 巻 4 号 p. 359-370
河道内砂礫州の樹林化し易さを評価する簡易指標として,破断・倒伏・転倒評価指標 (BOI)と流失評価指標(WOI)を組み合わせて,未破壊・未流失,破壊・未流失,未破壊・流失,破壊・流失の 4領域(それぞれ,Region A, B, C, D)を定義した.荒川・多摩川にて両指標の有効性を検証後,複数砂礫州の7地点において洪水確率毎に領域分類を行った.その結果,洪水規模の増大により Region AからD(パターン I), Region AからB(パターン II)への変化という典型的なパターンが存在した.パターン IIでは樹木破壊は生じるが流失は生じないため,再生能力の高い樹木が侵入した場合は,安定樹林帯となる可能性が高い.パターンIIに対する河道対策としては,パターンIになるような対策を講じる必要がある.