土木学会論文集C
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和文論文
実大擁壁土圧実験と起動内部摩擦角の評価
嶋津 晃臣
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2010 年 66 巻 4 号 p. 706-717

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抄録

 高さ6mの擁壁土圧実験により剛な壁体を有する擁壁土圧の挙動を調べた.裏込め盛土材料には自然含水状態の砂および粘性土を用い,盛土施工過程及び壁のゆるみ変位過程について擁壁土圧を測定した.土圧挙動をクーロンの土くさび平衡理論にもとづき,実測で得られた土圧合力及び傾きから土中のすべり面に働いている起動内部摩擦角を調べ,設計土圧としての検討を行った.砂においては盛土施工中の土圧,盛土完了時の土圧,主働時土圧,残留土圧についてその実態を示した.粘性土の土圧には摩擦材料としての振る舞いや土圧回復現象が観測された.さらに起動すべり面角を評価する事により土圧の影響範囲を推定できる事を示した.擁壁設計土圧の合理化の立場からは,盛土完了時点の実際に働く起動内部摩擦角を評価してそれを用いる事の重要性を提起した.

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© 2010 社団法人 土木学会
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