抄録
震災にともなう津波や台風などのような大規模な浸水被害だけでなく,短時間の豪雨による内水氾濫や地下浸水といった都市型水害も含め,近年においても至るところで水害が相次いでいる.災害を未然に防ぐハード面だけでなく,被災の予測やとるべき行動を周知するソフト面の施策が重要とされている.従来,予測される浸水深と地物との正確な表現においては,3次元CGとしての制作技術や,地物の3次元データが必要とされるが,本稿では,拡張現実感(AR: Augmented Reality)表現を利用して,容易に同等の映像オーサリングする手法を提案する.通常の実写映像入力を素材として,リアルタイムに周囲環境が浸水した様子を制作できるシステムを実装し,生成された映像データも幾何学的に整合したAR表現となった.