2016 年 72 巻 2 号 p. I_52-I_60
緑地などに存在する植生が空間的に連なるように分布することで,ヒートアイランド現象の緩和や生物多様性への寄与などの植生分布が有する機能が効果的に果たされる.我々は,衛星データから算出したNDVIに空間的自己相関分析を応用することで,植生被覆量の多い箇所から少ない箇所へと植生分布が空間的に連なる箇所を抽出する分析手法を開発してきた.その一方で,わが国では少子高齢化が進むなかでコンパクトシティへの移行が提唱されており,今後,増加の見込まれる移転跡地などにおいて植生分布の空間特性を明らかにした上で,オープンスペースの利用方針を検討する必要がでてきている.本研究では空間的自己相関分析を段階的に適用する方法を提示し,土地利用状況に応じた植生分布の空間的な連なりを抽出するとともに,その特性について考察した.