2017 年 73 巻 2 号 p. I_188-I_200
トンネルの定期点検は,5年に1回の頻度で実施することが基本とされたことから,点検業務の効率化が期待されている.このような背景から,著者らは,デジタルビデオカメラを用いた車載型撮影装置によりトンネル壁面を撮影した動画を作成し,トンネル壁面の連続画像を結合することでトンネル壁面画像展開図を作成する撮影画像結合ソフトの開発を進めている.しかし,著者らの既存研究における前後画像間の結合位置探索手法では,結合精度が不十分である場合や,結合精度を向上させるためには車両速度の情報が必要であった.このため,本研究の目的は,車両速度の情報を必要としないトンネル壁面画像の結合位置探索手法の提案である.具体的には,前後画像間の重なり領域の画素値差分布の勾配変化量を類似度指標として用いた結合位置探索手法を新たに提案し,その有効性を検証した.