抄録
我が国では,自然災害に見舞われるリスクが高く,自然現象がもたらす被害を如何に抑制するかが問われてきた.そこで,注目されているのが,事業継続計画である.社会を構成する組織である企業が,BCPの導入に取り組み,事業継続能力を高めることは,企業自らにとっても,我々の社会にとっても,その営みを継続する上で重要であると考えられる.特に,中小企業は,我が国の企業数の99.7%を占め,社会・経済の基盤を支えていることから,中小企業においてBCP導入を普及させることは社会の強靭性を高める上で,極めて重要であろう.そこで,本研究では,中小企業においてBCP導入を普及するにあたって,どのような施策を行うことが有効であるのかを,既往のBCPの諸種の実務的実践的経験と社会的ジレンマの理論的枠組みの双方を踏まえつつ提案する.