抄録
我が国では,環境規制の強化や廃棄物処分場に起因する環境安定性に対する住民の懸念を受け,内陸処分場から都市部の港湾域に大規模展開する海面処分場へと処分場の立地条件の多様化が進められている.しかし,環境安全性に関する基準やモニタリング手法は確立されておらず,海面処分場は長期的な評価が行われないまま,建設・運用されている現状である.そこで,本研究では海面処分場に関する長期的な性能評価を行うために,廃棄物浸出水の漏出を防ぐ海面処分場の遮水工の劣化評価手法を構築する.劣化予測手法として,物理・化学的手法と統計的手法の2つの手法を用いた.さらに,廃棄物処分場の廃止後も跡地利用が期待される海面処分場において,適切に維持管理を行い,環境安定性を保つことが必要となる.そこで,海面処分場の遮水工が損傷することで環境被害が発生すると考え,統計的手法であるワイブル分布から得られた故障率を用いて算出した補修コストと被害コストの和を期待LCCとし,アセットマネジメントの観点からLCCを指標とした廃棄物処分場の維持補修計画の検討を行う.