2014 年 70 巻 4 号 p. I_213-I_220
地域防災の観点から,地方において地元建設企業は災害時の初動対応に必要不可欠な存在であり,災害対応の円滑な実施には,自治体と地元建設企業との効率・機能的な協力体制の構築・推進が必要である.一方,公共投資の縮小傾向に加えて,入札による価格競争の激化による厳しい経営環境のもと,地元建設企業は著しく疲弊している.地元建設企業を将来的にも存続させ,協力体制を維持するためには,地元建設企業による災害対応の実態を客観的に評価することが求められている.そこで本研究では,平成24年7月に発生した九州北部豪雨災害を事例として,アンケート調査により地元建設企業の災害対応の実態を把握するとともに,自治体との協力体制からなる地域防災機能を維持・確保していくための,今後の課題を整理した.