抄録
近年,社会基盤施設の老朽化に伴う戦略的な維持管理・更新が求められており,入札契約制度においても長期保証型契約等が検討されている.本研究では,長期保証工事において,民間の技術力の効果的,効率的活用を促す制度設計の手法を提案した.事例として国土交通省中国地方整備局アスファルト舗装工事に注目し,各企業の入札行動に関するシミュレーション分析によって,長期保証型契約における受発注者のインセンティブ構造を明らかにした.その結果,発注者の期待効用,社会的余剰の増減は,違約金の規模によって決定されることを示し,その定量的関係を明らかにした.また,制度設計に成功するために,社会的余剰を増加させるための適切な発注内容の検討が必要であること,及びその条件を明らかにした.