2017 年 73 巻 4 号 p. I_100-I_111
岐阜大学では,平成28年度に採択された「SIP(戦略的イノベーション創造プログラム)実装プロジェクト」において,SIPで提案された新技術の社会実装を目指した取り組みを進めている.本研究では,岐阜県内を対象として新技術の社会実装上の障害・対策の明確化を目的に,技術開発者,発注者,受注者の異なる立場の技術者へアンケートを行った上で,より直接的な意見を収集するヒアリングを行う2段階調査を実施した.その結果,立場により障害は異なるため,立場間の溝を埋める第3者機関による立場毎の対策を示す情報共有の場の提供が必要であると考えた.その上,市町村が管理する土木構造物を対象に新技術のフィールド試験を行い,立場によらず多くの参加者を得た立場間の溝を埋める意見交換が,新技術の社会実装への糸口であることを見出した.