本研究では政府がプロジェクト情報を開示するとともに,プロジェクトの実施に対する個人の賛否をとり,その結果に基づいてプロジェクトの実施の有無を決定するような場面を想定する.その際,政府が詳細なプロジェクト情報を事前に提供することにより,個人が私的利得の獲得をめざした機会主義的行動を採用できる可能性が存在する.一方,個人に詳細なプロジェクト情報を提供しない場合,個人がプロジェクトに関して正確な判断ができないという問題が発生する.このような問題設定の下で,本研究では政府が提供するプロジェクト情報の精度と個人の機会主義的な行動の相互関係をコミュニケーションゲームとして定式化する.さらに,政府が社会的に最適なプロジェクトを実現するための方策について分析する.