本研究では,社会基盤整備における国民と行政との間の信頼形成を,国民を社会基盤整備の委託者,行政を受託者とする信頼ゲームを用いて分析する.その上で,行政が国民からの信頼を獲得するための方策として,第三者評価制度の有効性について検討する.その際,第三者委員間の相互評価メカニズムに基づくチェック&バランス機能に着目し,第三者委員会のメンバー構成のあり方として,1)単一の第三者評価,2)同質パネルによる第三者評価,3)異質パネルによる第三者評価,4)検証委員の参加による言語の共有化方策という4つの方策をとりあげる.さらに,これらの方策の下での信頼ゲームを分析し,社会基盤整備における国民と行政との間の信頼形成を実現する上での政策的含意をとりまとめる.