2009 年 65 巻 3 号 p. 353-363
コンクリート構造物の景観を良くするための方策として表面のはつり仕上げや洗い出し仕上げがある.一方,構造物の耐久性も重要な要求性能である.したがって,海岸構造物など塩害が心配される場所で表面仕上げを適用するためには,はつりや洗い出しと耐久性との関係を知っておく必要がある.しかし,はつりや洗い出しが耐久性に及ぼす影響は明らかにされていない.そこで本研究では,はつりや洗い出しが塩化物イオンの浸透深さに及ぼす影響を実験的に検討した.実験結果から,はつりや洗い出しによって塩化物イオンの浸透抵抗性が小さくなることは無いことが分かった.これは,コンクリート表面近傍において塩化物イオンが浸透する媒体となるセメントペースト量が少なくなるためであると考えられる.