2010 年 66 巻 4 号 p. 399-412
部分断面修復を施したRC床版におけるマクロセルの形成メカニズムについて実験的に検討を行った.試験体中に埋設した分割鉄筋の腐食電流を測定し,コンクリート-断面修復材間におけるマクロセル腐食電池の形成,鉄筋の交差部がマクロセル形成に与える影響,断面修復材中の鉄筋の腐食進行の可能性について考察した.その結果,コンクリート-断面修復材境界部の鉄筋は,初期はカソードとして挙動するが,部材中の電気化学的バランスの変化により,境界部のコンクリート中の鉄筋がアノード化すること,コンクリート中の鉄筋交差部は二次元的な腐食電流の流出入により,初期に著しく腐食が進行すること,また,断面修復材中の鉄筋間に腐食電池が形成される可能性があることが分かった.