「土木の絵本シリーズ」は、古代から近代にかけて、土木の分野で活躍した土木技術者の技術と業績を描きながら、彼らが時代の要請に対してどのような解を出し、自然とどう向き合ったかを示す科学絵本である。発刊の主旨には、土木の役割や価値を一般の人々、特に次代を担う若い人たちに理解して欲しいという願いが込められている。本稿では、全国公立小学校の絵本活用校に行った調査から、土木の題材や内容が教育現場でどのように扱われたのかという活用事例を報告、そのアンケート結果から得られた傾向から、土木を視点に入れた授業実践のために何が必要で、何が足りないのかといった問題点や課題を抽出する。そこを足がかりに、土木を初等教育に取り込むための可能性と方向について論じる。