2017 年 73 巻 1 号 p. 22-33
近年各地でモビリティ・マネジメント教育が実施されているが,自治体が教育面の効果にも配慮し的確に踏み出すための方法が明確にされていないこと等が依然課題である.これを踏まえると,一般に実施されているプログラムの中長期の効果特性を踏まえた導入方法等の知見の整理が求められる.そのため本稿では,小学校で複数のプログラムを継続展開している京都府久御山町での中学生アンケートから,交通行動・教育それぞれの面で期待される効果の比較分析を実施した.その結果,実体験が記憶に残りやすく効果が高まること,交通を題材に自分と地域のつながりを学ぶような社会性の強い学習が公共交通や地域愛着,道徳意識を高め得ること,地域のバス等に焦点を当てた学習で認知が深まり行動へ影響し得ること等を把握し,MM教育導入時の留意点を整理した.