2022 年 78 巻 1 号 p. 73-92
我が国の橋梁のうち約7割は市町村道にある.市町村は職員の技術力不足や財源不足を抱えており,1巡目点検施設の修繕実施状況は,措置の完了率が35%に留まっている.市町村の職員は,管理者として橋梁メンテナンスサイクル(点検-診断-措置-記録)の全てに関与する責務があるため技術力向上が急務である.本稿では,職員の技術力不足を抱える地方公共団体のうち玉名市役所を事例とし,本市独自の橋梁補修DIYの実践による外業のOJTにより,市職員の技術力向上を図る職員育成について述べる.さらに,記録の高度化を図る目的として,本市独自の橋梁別総括表を作成する中で実践する内業のOJTを示す.これらのOJTによる職員育成が,現場での技術力向上に寄与するとともに,コスト縮減の見える化により市職員の意欲創出に繋がることを示す.