2012 年 68 巻 7 号 p. III_147-III_156
近年,自然災害が頻発しており,将来的に,気候変動により自然災害が増加,甚大化することも懸念されている.このような中,本研究では,水道事業における防災分野での広域連携やBCPの策定に寄与するため,各種災害による水道事業への影響を評価した.そのため,流域を単位として水道施設とその被災要因を可視化し,流域ごとの被害特性や問題点を抽出する水道ハザードマップを提案した.この水道ハザードマップを紀の川流域及び大淀川流域に適用したところ,各種災害による水道施設への影響及び影響人口を市町村単位で定量化することができた.また,大淀川流域では影響人口に占める独居老人人口の比率が紀の川流域と比較して小さいなど,流域ごとの被害状況の差異を定量的に把握することが可能となった.