2012 年 68 巻 7 号 p. III_651-III_661
和歌山市滝畑浄水場では,2003年8月の給水開始当初より原水水質由来のトリハロメタンが問題となっていた.そこで,場内配水池での曝気処理によるトリハロメタン濃度の低減効果を検討した.その結果,トリハロメタン濃度は通気量が多いほど指数関数的に減少することが確認できた.一方,曝気処理では浄水中に残存する有機物を除去できないため,配水系統内における濃度の再度上昇が避けられず,給水末端でトリハロメタン濃度を管理することが求められる.そこで,配水系統におけるトリハロメタン濃度を予測する式を導出した.予測式を用いたモデル解析により,滝畑浄水場の配水系統内では十分安全な給水が可能であることが示された.