2014 年 70 巻 7 号 p. III_217-III_223
一般廃棄物焼却灰からのセシウム溶出を明らかにするために、安定セシウムを加えた廃棄物を焼却して得られた焼却灰を用いて逐次抽出試験、pH依存性試験、温度依存性試験を行った。その結果、木くずを原料とした焼却灰中の水溶性態を除いたセシウムの存在形態は、実焼却灰の存在形態と類似していると見なせた。pH5以下でセシウム溶出率は大きく増加した。pH5以上では自然のpHでの溶出率と同程度であった。溶出温度が20℃から60℃に上昇するとセシウム溶出率は平均で1.2倍の増加であった。以上から、実際の処分場において、pH、温度のセシウム溶出への影響は小さいと考えられた。残留態のセシウムは、還元状態で溶解しない形態のアルミニウムや鉄と共存していると推察された。