2019 年 75 巻 5 号 p. I_41-I_46
降雨観測はこれまで地上雨量計やレーダを用いて広く行われてきた.レーダ雨量計は面的情報を得ることが可能である.レーダ観測では粒径分布を仮定し,Z-R関係やKDP-R関係を用いて降雨量を推定する.しかし,粒径分布は降雨タイプや地域によってばらつきがある.本研究では,2013年夏季に京都大学防災研究所の田辺中島高潮観測塔に光学式ディスドロメータを二つの異なる高さに設置し,海上での降雨観測を行なった.海上で得られた粒径1mm以下の粒子数は風速に応じて増加する特徴を示した.これは,海面から発生する砕波飛沫であると考えられ,海上での降雨観測では粒径分布の変動が風速に応じて変動し,飛沫の混合を考慮する必要があること本論文では示唆する.