2019 年 75 巻 7 号 p. III_217-III_224
一般廃棄物焼却灰が水と接触すると、焼却灰に含まれる金属アルミニウムの水和反応により、水素ガスが発生する。本研究では、焼却灰から発生する水素ガスを回収するシステムの実用化を目指し、短時間で大量の水素ガスを発生させることができる方法を検討した。循環利用されていない金属アルミニウムの添加及び水酸化ナトリウムの添加による水素ガス発生促進、水素ガス発生に有利な粒径区分の検討、実用化を想定して水素ガス発生装置をスケールアップしたパイロット試験を行った。その結果、金属アルミニウムの添加によって水素ガス発生量は増加するものの、反応効率が最大となる最適な金属アルミニウム添加率が存在すること、焼却灰に対して8%のアルミニウム屑を添加し1mol/L水酸化ナトリウム水溶液を用いることで82.2m3/t/日の水素ガスを発生させることが可能であること、水素ガス発生に有利な粒径は乾灰の場合4.75mm以下であること、水素ガス発生装置をスケールアップした場合の課題を示した。