2021 年 77 巻 5 号 p. I_139-I_145
地球観測衛星を使用した地表のモニタリングには広域性,周期性,同時性という特徴があり,任意の地域の地表面を一定間隔で調査することができる.合成開口レーダ(SAR:Synthetic Aperture Rader)は天候の影響を受けにくいセンサであり,迅速な対応が求められる災害時の利用に向いている.SARを使用した被害域の抽出の方法として干渉SARがあり,防災分野で広く適用されている.本研究では,茨城県潮来市日の出地区のような平野部を対象に,2つの干渉SAR解析手法を適用し,地表面変動量と住宅被害の有無について観測,評価を行った.結果,干渉SARの適用に向く平坦地であればcmオーダーの観測が可能であること,個々の建物被害の読み取りが概ね可能であること,被害分布には旧地形との関連があることを確認した.