2010 年 66 巻 4 号 p. 524-535
鉄道橋梁では河川増水時に橋脚基礎周辺の河床が洗掘されて基礎構造物としての安定性が低下し,橋脚が傾斜・転倒することがある.こうした災害から旅客や列車を守るため,防護工の施工や橋梁改築のようなハード対策に加えて,ソフト対策として河川水位に応じて列車運行を制限する運転規制を行っている.本研究では,その運転規制の実施の可否判断を支援するため,橋脚天端での微動計測によって基礎の健全性を表す指標である橋脚の固有振動数を求めることを目的としている.ここでは,水理模型実験による流水中の橋脚の微動計測と実橋梁における河川増水時の微動計測から,橋脚の固有振動数を精度良くかつ迅速に把握することができるアルゴリズムを提案し,それを他の橋梁に適用してその有効性を示した.