土木学会論文集G
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和文論文
湖岸植生帯の分布を制限する波浪・地形条件
中辻 崇浩中村 圭吾天野 邦彦
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2006 年 62 巻 1 号 p. 135-140

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抄録

 近年,湖岸植生帯は治水・利水目的による建設工事や様々な開発行為,水質悪化などによりその面積が減少している.この状況を改善するため,各地で湖岸植生帯の再生が実施されているが,その計画・設計に関する知見は必ずしも十分でない.本研究では,マクロ的な植生帯の繁茂条件を,より客観的かつ簡易に算出できる方法で検討した.その結果,植生帯の繁茂は,沿岸方向の波浪エネルギーフラックスと湖岸勾配により表現されることとが分かり,その指標を湖岸エネルギーフラックスと名付けた.植生繁茂の基準値は 20 kg・m/day/m 以下であり,植生帯幅が大きいほどその値が小さくなることがわかった.湖岸エネルギーフラックスは,植生帯の繁茂可能性の検討が行なえるとともに,自然再生を行う対象地区の植生帯幅の潜在能力を推定することができる.

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© 2006 社団法人 土木学会
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