66 巻 (2010) 3 号 p. 136-148
化石燃料の消費などによって大気中へ排出された水銀は,長距離輸送され遠隔地における環境中濃度に影響を及ぼす.また同時に土壌や水面に沈着したものが生物濃縮され,食物としてヒトが摂取する.本研究では,大気化学輸送モデルと運命予測モデルを結合させることにより,東アジア地域で排出された水銀による日本への影響評価を行った.東アジアでの大気中濃度,沈着量を推定した結果,日本における総水銀沈着量に対する国外発生源の影響は,30-48%となった.さらに,日本人の水銀曝露量を推定した結果,魚介類からの曝露量が最も多いことが確認された.さらに国外起源の水銀が日本人の曝露量に及ぼす影響についても魚介類経由が支配的であった.国外での水銀排出が日本人に及ぼす影響としては,総曝露量として83%と推定された.