抄録
最近,わが国でも地盤構造物に対して性能設計の概念が導入されてきた.性能設計を行う上で一般的に用いられる設計法として信頼性設計法が挙げられる.現在実用化されている信頼性設計法にはレベル1~3の手法があり,これらは破壊確率をベースとしている.しかし,破壊確率の許容値は,構造物の種別や構造物の要求性能に応じて設定されるものであるが,実験や実例などから経験的に設定せざるを得ない.また,限られた試験データから地盤定数の確率分布を推計し,それを基に設計せざるを得ない. 本研究では,上記のような入力の不確かさに対して頑健な意思決定を可能にするため,ロバスト制御アプローチを導入した信頼性設計法を提案した.簡単な例題でその適用性を検証した結果,本設計手法は地盤改良工等の設計に対して有用であることが確認できた.