2011 年 67 巻 1 号 p. 78-97
杭の鉛直ばね定数は重要な設計指標であるが,供用時の杭の変位自体は微小な値であるため実際の変位挙動は十分に明らかになっていない.特に使用性を議論する上では杭の鉛直ばね定数の変位レベル依存性を評価する必要があるが,列車通過時の微小な変位レベルから鉛直載荷試験での大きな変位レベルまでの連続的に検討した例はこれまでほとんどなかった.そこで,本研究では杭基礎を有する鉄道ラーメン高架橋を対象に,同一箇所において建設段階での実杭の鉛直載荷試験と開業後の列車通過時の高架橋柱下端の動的変位計測により,鉛直ばね定数を実測し両者の関係を比較・考察した.その結果,列車通過時の鉛直ばね定数と変位増分の関係は,鉛直載荷試験での鉛直ばね定数の変位レベル依存性を外挿して連続的に評価可能であることを確認した.