2011 年 67 巻 2 号 p. 276-287
高レベル放射性廃棄物の地層処分施設は,廃棄体運搬の利便性等の観点から,沿岸域付近に建設される可能性がある.その場合,処分施設に流入する地下水には海水起源の塩類が含まれることが予想される.そこで本研究では,地層処分において最も重要な人工バリアであるベントナイト系緩衝材の仕様設計に資するため,各種ベントナイトの人工海水環境下での透水係数を実験的に調査した.その結果に基づき,低透水性の観点から海水の影響を受けにくいベントナイトの種類や緩衝材の仕様を明らかにした.また,ベントナイトの透水係数に及ぼす海水中の陽イオンの影響について,既往の研究成果に基づきモンモリロナイト結晶層の濾過機能の観点から検討を行い,透水係数に及ぼす人工海水の影響メカニズムを考察した.