2011 年 67 巻 3 号 p. 299-309
本研究は,岐阜県飛騨圏域の道路斜面の落石事故の発生確率を推定したものである.落石発生確率は,岐阜県道路防災点検データベースに蓄積された約3000箇所の斜面の点検結果を記述した「安定度調査表」を用いたロジスティック回帰分析による「相対危険度評価」と,その結果と実際の落石事故データが整合するようにキャリブレーションした「絶対危険度評価」により推定した.本研究は,岐阜大学の研究グループが,岐阜県と共同で進めている「社会基盤施設アセット総合マネジメント」プロジェクトの一環を成すものであり,この研究では,定量的リスクに基づいた社会基盤施設の総合的整備戦略の提案を最終目的としている.各斜面についての道路の遮断による経済損失や対策費用の評価結果と,本研究の結果と総合して整備戦略が提案される予定である.