2012 年 68 巻 2 号 p. 239-250
岩盤の透水性が不均質な場に対して連続体モデルを用いて地下水流動解析を行う際には,透水係数の代表値として巨視的透水係数を設定する必要がある.一方,原位置試験によって算出される透水係数の分布は,同じく岩盤の不均質性に起因して実際の岩盤の透水係数分布よりも大きく計測される.そのため大きく計測される原位置試験の結果から岩盤の透水係数分布を適切に推定した上で巨視的透水係数を設定する必要がある.本論文では確率有限要素法を利用した逆解析によって岩盤の透水係数分布を推定し,巨視的透水係数を設定する手法を提案し,数値実験によって妥当性の検討を行った.さらに,サンプルデータを対象とした巨視的透水係数推定例を提示した.