2012 年 68 巻 4 号 p. 597-609
地震による盛土被害が絶えない現状を鑑みると,盛土に対する耐震設計の高度化は不可欠である.現行の締固め度管理や空気間隙率管理では,実際に盛土がどの程度の繰返し抵抗を有するのか不明瞭である.そこで,築堤材として使用された砂質シルトを用いて,飽和した締固め供試体について,一連の繰返し非排水三軸試験を行った.そして締固め度管理規定値が示す繰返し強度を定量的に評価した.様々な観点からの考察により締め固めた土の力学性能を決定し得る締固め時の含水比および締固め度が,繰返し強度を始め様々な繰返し非排水せん断特性に無視できない影響を与えることがわかった.その結果を踏まえ,耐震性の観点から盛土の高安定化に寄与する締固め条件について検討している.