2013 年 69 巻 1 号 p. 46-57
近年,局地的かつ突発的な集中豪雨による土砂災害が頻発している.本研究は緊急時のライフラインとして重要な役割を果たす高速道路に焦点をあて,豪雨による表層崩壊を対象とした土砂災害監視システムの構築を目的とする.特長は,電池で長期運用が可能であること,フルメッシュネットワークと呼ばれる無線通信技術により,対象範囲を限定せず,多点で面的な計測が行える点が挙げられる.また,崩壊検知だけでなく,崩壊に至るまでの地盤の性状を段階的に診断できるシステムの構築を目指している.ここでは,本システムの無線通信機能に焦点を絞り,その性能評価および実証実験を行った.その結果,基地局とセンサノード間の無線通信距離に依存することなくセンサを配置でき,少なくとも129日間の連続稼働時間が確認できた.