2013 年 69 巻 3 号 p. 297-311
信州大学の長野若里キャンパスにおいて,不圧帯水層とその下部の被圧帯水層の飽和透水係数および縦分散長を求めるため,塩水を用いた2孔式トレーサ試験を実施した.注入孔と観測孔でモニタリングした地下水の電気伝導度データを基に,密度流を考慮した飽和・不飽和流動および保存性トレーサの移流分散の連成問題を解くための3次元数値モデル(SIFEC3dp)にパウエルの共役傾斜法を組み合わせた逆解析法を適用することにより,パラメータの同定を行った.開発した逆解析法はまずパラメータが与えられた任意のテストケースで検証し,ついで現場のデータを用いてパラメータ同定を行った.同定されたパラメータを用いた数値シミュレーションによる計算濃度は実測された塩分濃度と良く一致した.