2013 年 69 巻 4 号 p. 417-431
筆者らは砂漠化の進行を抑止するため,乾燥地地盤に薬用植物「カンゾウ」を定植させ,持続的かつ現地のコミュニティと共同で行う地盤環境保護を目指した技術開発に取り組んでいる.このような技術を開発するため,モンゴルのカンゾウ自生地,非自生地で地盤環境調査を行っている.本論文では,乾燥地地盤の物理的環境と化学的環境を把握し,それらの関連性に関する考察を行った.その結果,乾燥地地盤は深さ1~2m程度では自生地・非自生地ともに砂~シルト質の不均質な層を有し,カンゾウが生育できる地盤内の含水比は最低でも5%程度であり,地盤内水分の確保が重要であることが示唆された.また,粒度の細かいシルト質土壌を多く含む層の有効水分量が高く,シルト質層に炭酸カルシウムが蓄積し,その結果pHやECが高まることが示唆された.