2013 年 69 巻 4 号 p. 432-443
斜面の安定解析は,地盤工学において古典的問題である一方で,数学的には多峰性関数の最適化問題に帰着し,現在でも研究開発が進められている.特に,自然斜面の安定解析では,その規模の大きさや地層構成が複雑なため,安全率を求める関数は容易に多峰性関数となり得る.本研究では,盛土または自然斜面を対象として,Spencer法による力の釣り合いに基づいた効率的な非円弧すべり線探索法を用いた安全率算定法を示す.提案法の妥当性の検証のため,安全率が既知のモデルに対して提案手法を適用し,計算精度と収束性の観点から比較し,提案法の有効性を示した.