2014 年 70 巻 1 号 p. 150-169
本論文は,傾斜地に建設される送電用鉄塔の深礎基礎を対象に,急斜面の水平地盤抵抗メカニズムを検討した結果を報告する.不連続面の発達した中硬岩地盤で中規模の水平載荷実験を行い,30度と50度斜面の実験結果を比較した.岩盤の力学特性は,直径5~30cmの三軸圧縮試験のデータからせん断強さとヤング率に関するばらつきと寸法効果を評価してモデル化した.地盤の抵抗メカニズムは,岩盤のひずみ軟化特性を考慮した弾塑性有限要素解析を利用して詳細に分析した.その結果,深礎の水平地盤抵抗は基礎の前面と側面に分離して評価できること,前面地盤の受働抵抗は基礎幅の3倍程度であること,すべり面の角度はCoulomb土圧論に基づく上界値が急斜面に対する適用性が高いことを示した.