2014 年 70 巻 4 号 p. 387-394
溶液型薬液注入工法による改良土の強度は,地盤自体の密度や粒度分布,注入する薬液の濃度や注入後の材齢などによって影響を受けるが1),深層混合工法2)などと比べて,固結強度のばらつきが大きい工法である.本論文では,地盤内に浸透注入された薬液の濃度の希釈現象に着目して,移流拡散式による薬液濃度変化の理論的な解析,均等係数が1.5程度のケイ砂を用いた室内注入実験並びに現地実験を行い,固結強度のばらつきの原因について検討を行った.この結果,溶液型薬液注入における改良強度のばらつきの主原因は,移流拡散による薬液の希釈ではなく,注入終了時から固結が開始するまでの間に生じる,薬液と間隙水の比重差に起因する薬液の沈降による希釈であることが判明した.