2015 年 71 巻 4 号 p. 292-300
放射性廃棄物地層処分施設近傍の岩盤の水理学特性を詳細に把握することは,安全に処分事業を進めるうえで必要不可欠である.周辺岩盤には,掘削影響による応力場の変化,廃棄体からの放熱,地熱や地殻応力による地化学反応が複合的に絡みあい,各現象を統合的に評価する必要がある.本研究では,岩石構成粒子接触部における圧力溶解現象を考慮した熱・水・応力・化学連成解析モデルを開発し,放射性廃棄物地層処分施設の周辺岩盤の透水性の長期予察解析を行った.その結果,圧力溶解現象を考慮しない場合,周辺岩盤の透水性変化は確認されず,圧力溶解現象を考慮した場合は,時間の経過と共に透水性が最大1オーダー程度低下する傾向が得られた.