2017 年 73 巻 1 号 p. 1-10
3ヒンジプレキャストアーチカルバートは本体にヒンジ機能を有する柔な構造であり,従来型のカルバートとは異なる設計思想に基づいている.このため,現状では耐震設計を必要としない慣用設計法を適用することができない.これまで筆者らは,実構造の1/5スケールを対象とした強震応答実験を実施し,同構造の損傷過程について検討を行った.本研究では,耐震設計に用いる数値解析手法の検討を目的に,動的解析による振動台実験の再現解析と,実験で計測された最大変位を静的に与える静的解析を実施した.その結果,周辺地盤に強制変位を与える静的解析を用いた場合にも損傷進行過程を適切に表現可能であることから,同構造の耐震設計を行う際には,静的解析による照査法が適用可能であることが確認された.