2017 年 73 巻 1 号 p. 76-92
本論は,アンカー工により補強した斜面の補強効果および崩壊機構を明らかにするため,崩壊に至った斜面模型を含む振動実験の結果を基に,斜面や補強工の応答性状の分析を行った.さらに,大変形から崩壊に至る挙動が解析可能な解析手法(MPM)を用い,補強効果の検証を実施した.対象とした振動実験は,大きさの異なる斜面模型を対象とした1G場での振動実験である.その結果,補強斜面の崩壊は,弱層上部の非線形化により地盤が緩み,静的アンカー張力が減少したことにより弱層と表層部の振動の増大とアンカーの破断強度に達する引張り応答の増大により生じたことが明らかとなった.また,MPMにより,アンカー工の補強効果として,締付け効果の影響が大きいこと,さらにMPMは補強した斜面の挙動を再現可能であることが明らかとなった.