土木学会論文集C(地圏工学)
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和文論文
観測データとタンクモデルを利用した表層崩壊発生時の間隙水圧推定法について
矢部 満寺田 悠祐野並 賢飛田 健二上野 将司曽根 好徳
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2017 年 73 巻 2 号 p. 141-156

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抄録

 集中豪雨や局地的大雨が近年増加傾向にある中で,豪雨に起因した斜面崩壊の予測はますます重要性を帯びてきている.近年求められている斜面崩壊予測手法には,土砂災害警戒発令の観点とともに,警戒解除の観点での判定可否が必要かつ重要である.本研究では,土砂災害警戒解除の定量的判断に資する地盤の間隙水圧の推定法を検討した.この方法は,タンクモデルによって降雨データから得られる土壌雨量指数を,間隙水圧の観測ピーク値と一致するようにフィッティングし,そのフィッティング式から斜面崩壊時の間隙水圧の値を推定するものである.この推定方法を伊豆大島の過去の土砂災害に関する降雨データに基づいて検証した.検証の結果,推定方法により,狩野川台風や2013年台風第26号の土石流災害のきっかけとなった表層崩壊発生が再現された.

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© 2017 公益社団法人 土木学会
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