2017 年 73 巻 3 号 p. 282-293
地盤を表面から溝状に掘削する溝掘削工事では土砂の生き埋めとなる事故が後を絶たない.その直接的な原因は本来設置されるべき土止め支保工が適切に設置されていなかったことであるが,人的被害の背景には崩壊の予兆に気づかず逃げ遅れたことがある.本研究では地山の安定を過信しがちなクリープ的崩壊に焦点をあて,その危険増加を計測によって把握する方法を実験的に調査した.特に簡易計測の観点から浅い部分のせん断ひずみ増加に着目し,溝の肩付近で計測したところ沈下や傾斜と連動した反応が見られた.その値は掘削終了後も継続した増加を示し,クリープ的な変化が崩壊予兆として捉えられた.本報告では溝の肩付近のせん断ひずみを簡易計測する技術と崩壊の危険検出について述べる.