2017 年 73 巻 4 号 p. 330-341
降雨による表層崩壊を予測するためには,土中の水分および地下水位のモニタリングが有効である.原位置においてモニタリング計測を実施するためには,計測機器の価格,設置の容易さ,メンテナンスの頻度等を考慮する必要があり,我々は,超音波を使った土中水分・水位モニタリング技術を開発した.本論文では実大斜面に超音波測定システムを設置し,降雨を与え崩壊させることで,斜面内の水分および水位の上昇を捉えられるか,また計測値が崩壊に至るまでにどのような変化を示すか検証した.実験の結果,超音波土中水分水位測定システムによって水分動態と誘電率土壌水分計やテンシオメータから得られた水分動態が同様な変化を示し,土砂災害のモニタリングシステムのセンサの一つとして利用できる可能性を示唆した.