2018 年 74 巻 2 号 p. 225-233
軟岩の引張り強さは,その簡易性から圧裂試験による間接測定が行われている.しかし,一軸圧縮強さが5MPa程度以下の軟岩においては,供試体内における局所的な応力集中による破壊が起こりやすいため,引張り強さは試験方法により影響を受けることが懸念される.ここでは,試験方法の違いによる引張り強さの相違を把握することを目的として,泥岩,砂岩,凝灰岩等の岩種を用いて,同種岩石による一軸引張り試験と圧裂試験を実施した.その結果,密度と弾性波速度がほぼ同じ場合には,岩種によって一軸引張り強さと圧裂引張り強さに大きな差がないことが確認できた.さらに,一部の岩種について寸法効果と異方性の検討を行った.その結果,岩種によって寸法効果や異方性の傾向がやや異なる傾向があった.