土木学会論文集C(地圏工学)
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ISSN-L : 2185-6516
和文論文
液状化した地盤中の埋設管浮上メカニズムに着目した模型振動実験
仙頭 紀明齋藤 和寿平山 拓海
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2018 年 74 巻 3 号 p. 332-341

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抄録

 地震による液状化により埋設管の被害がこれまでに数多く発生している.本論文では液状化による埋設管の浮き上がりメカニズムを詳しく調べるために,比較的浅い位置に設置した埋設管を対象に模型振動実験を実施した.実験では管のみかけの比重の違い,埋設管に作用させる上向き浸透流の有無の影響を調べた.埋設管の浮上速度は,埋設管の見かけの比重が小さい程大きくなった.また埋設管は上下に振動しながら浮上し,その振動は過剰間隙水圧の振動応答とほぼ同期し,地盤のダイレイタンシー挙動が埋設管の浮上に影響を及ぼすことがわかった.さらに上向き浸透流の作用により,液状化した地盤のみかけの粘性係数が低下することで,埋設管の浮上速度は1.7倍となり,周辺地盤からの間隙水圧伝播による埋設管の浮上被害を裏付ける実験結果が得られた.

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