古くから構造物の基礎として利用されてきた木杭に関して,施工後100年以上経過し,地下水位以浅かつ砂質土中にある場合の耐久性を評価した.評価方法として,木杭の目視確認,木杭周辺の土質調査,部材性能確認のための実大の木杭を用いた一軸圧縮試験と縦圧縮試験,表面劣化を確認するためのピロディン試験,支持性能確認のための鉛直載荷試験を行った.その結果,杭頭部から最大1.5mの範囲を除き健全であり,木杭の強度や支持力は建設当時の設計値や許容応力度を満足している点を確認した.評価した木杭は,地下水位以浅に90年以上位置し,松を使用した含水率45~80%の木杭であり,木杭周辺の土質は,細粒分含有率15~25%程度,自然含水比20~30%程度の砂質土であった.以上の木杭と同程度の物性を有する木杭は著しく劣化しないと言える.