2021 年 77 巻 3 号 p. 195-212
積雪地帯では融雪水を誘因とする斜面崩壊が生じることがある.本研究では,同災害に対する警戒基準として,気温などの気象データより推定される融雪量の解析値を反映した実効雨量(実効融雪量)を評価指標に用いる方法の開発を目指し,同指標に設定する半減期を検証した.積雪地帯における複数の鉄道沿線斜面の地下水位挙動と同指標を比較した結果,半減期に概ね24時間~96時間を設定することで両者に強い相関性が認められることを確認した.さらに鉄道の過去の同災害事例を分析し,盛土では半減期を96時間とした同指標を採用することで,効率的に災害が捕捉できる可能性を示唆した.