土木学会論文集B1(水工学)
Online ISSN : 2185-467X
ISSN-L : 2185-467X
水工学論文集第62巻
大気場の組み替えと分布型水循環モデルによる多数年におよぶ河川流量データ作成の研究
萬 和明黒崎 直哉市川 温キムスンミン立川 康人
著者情報
ジャーナル フリー

2018 年 74 巻 4 号 p. I_127-I_132

詳細
抄録

 洪水ピーク流量に対して,洪水以前の土壌水分が影響することが指摘されている.分布型水循環モデルを用いれば日々の大気場に応じた土壌水分の変化を計算でき,土壌水分の流量計算に対する影響を陽に考慮できる.
 タイ国のブミポンダム上流域を対象に雨季における月単位の大気場の相関関係を調べたところ,7-8月を除いて連続する2ヶ月の降水量に相関関係がないと判断できた.そこで,8月と9月を境界に大気場を組み替えて多数年におよぶ大気場を作成して,分布型水循環モデルに入力し多数年におよぶ河川流量データを作成した.作成した河川流量データの年最大日流量は,元となった大気場を河川流量に変換した年最大日流量の頻度分布と類似していた.また,年最大日流量は降水量だけで決定されるのではなく,土壌水分も影響することが示唆された.

著者関連情報
© 2018 公益社団法人 土木学会
前の記事 次の記事
feedback
Top